春に向けてのお手入れ
春はバラが主役です。
雑誌でも、テレビでも、地元の公園でも、もちろんあなたのお庭でも。いたるところにバラだらけです。
ただ、寒い冬に地道な作業や大仕事をやってのけた人だけが、心の底から春の開花を楽しむことができるのです。そして春だけでなく、6月から7月の二番花を楽しむためには、少し注意が必要です。
まず何よりもつぼみを守ります。
春になると最も困るのが虫の被害です。個人的には、「スプレーレス」キャンペーンが大好きです。つまり、消毒を我慢するということです。これは、余計な仕事が増えるだけでなく、ある程度のダメージは覚悟しておかなければなりません。重要なのは、自分にとっての許容範囲を見極めることです。
たとえば、バラが植えられた公共のガーデンでは、こまめに消毒が行われます。ガーデンの管理者は、複数の化学薬品をローテーションして使い、その薬品が実際に、バラにどのような効果を与えるか観察しています。消毒はタイミングが命ですので、対象とする虫の動向によって散布の時期を調節する必要があります。ガーデンの虫たちに目を光らせ、マイマイガなどの「発生」というニュースを常にチェックし、虫の数を把握したりその一歩先を見て対策したりするための基本的なポイントです。ターゲットを確実に仕留めるために、あなたの住んでいる地域の昆虫たちの動きをつかみましょう。
ここまでは大きなガーデンのお話をしてきましたが、一方で、各ご家庭のお庭では、消毒は少ない方がいいのではないかと思うんです。ハキリバチを駆除する必要があるのでしょうか?イモムシだったら手で払ってしまえばいいんです。あなたが散布しようとしている薬品は、すべての虫に影響を与えます。ぜひ、覚えておいてください。
消毒することによって、バラにとって大切な虫たちもすべて殺してしまうことになります。最も大事にしたいバラのつぼみにまで影響が及びます。花の中にひそむコガネムシですが、少数でしたら庭全体の見栄えや美しさを大きく損なうことはないでしょう。
一番大切なのは、虫たちが花やつぼみにどのように影響を与えるかを見極めることです。ガーデナーなら誰でも、せっかく出てきたつぼみを守りたいですよね。実は、比較的自然な方法でつぼみを害虫から守ることができるんです。ニームオイルや唐辛子スプレーは、農業の長い歴史の中で、穀物を守るために広く愛用されてきました。ホームセンターなどで、このような自然に優しい製品を見つけて試してみてください。
水やりは、バラにとってかなり重大なポイントです。お庭で栽培する場合は、天候や苗の状態をよく見て水やりをします。水をあげるときは、水が土全体に深くしみわたるように、土壌によっては、水やりの頻度を調整する必要があります。土の状態を知るたった一つの方法は、土を掘って、触ってみることです。バラの近くに深さ20㎝くらい穴を掘って、土をひとつかみします。どのくらい水分を含んでいるか、本当に水が必要か、表面の5㎝だけが乾いているのか、がすぐにわかります。
鉢でお育ての方は、「土が乾いているときの重さ」と「土が水分をしっかり含んでいるときの重さ」を測っておくといいでしょう。今お使いの土の水はけはいかがですか。毎回の水やりの量も、土の状態、鉢の大きさ、株の大きさなどすべての要素が関係してきます。葉が重い品種は、蒸散により水が多く出ていくものもあります。遅咲きの品種の場合、周りのバラがつぼみを出していても、まだつぼみがなく緑の状態なので、あまり水を必要としません。そのため、すべて同様の水やりは禁物です。「同じ品種であっても」です。わずかにですが、それぞれ条件や状態には違いが見られます。土、鉢、水、天候、すべてに注意を払い、バラが最高の春を迎えられるようにしてあげたいですね。
意外かもしれませんが、花が咲いているときは水やりを減らします。しかし、花が咲いているときよりも、「花を開こうとしているとき」の方が、水をよく吸収するんです。ただ、水のやりすぎには十分注意してください。切り花を飾ったり、株の生長を促したりするために剪定をします。もしくは、株全体が開花するのを待ち、一気に剪定します。このほうがバランスの取れた形を作りやすいと言えます。暑い日でも咲いてくれる元気なバラは、とても強い印象を与えてくれます。
長々と書いてきましたが、何よりもバラを楽しんで、記録を残し、それを翌年に役立ててください。いつ何が起こって、どれがうまいかなくて、こんな対策をした、などを言葉で残しておくことで、失敗を活かすことができます。計画通りにうまくいかなかったとしても心配せず、できるだけ楽しみましょう。次はきっと咲いてくれます!