秋のバラ

イングリッシュローズは秋にも違う顔を見せ楽しませてくれます。春よりも深い色合いが現れ、より大きい花が咲き、そしてより濃い香りが漂うこともあります。ただ、秋にあまり花をつけない品種があるのも事実です。

花が少ない、もしくは咲かない理由として、虫の影響やバラ自体の健康、水やりの過不足など様々なことが関係しています。しかしながら秋に花をつけない大きな理由は、「品種の特性」です。つまり、「日本の秋の気候に順応するため、新芽は伸ばすが花はつけない」という遺伝子を備えているのです。

秋の開花もバラを選ぶための重要項目であれば、お店の人に聞いてみるのがベストです。しかし、彼らが「花が咲く」というのをどのように捉えているかをまずは確認したほうがいいでしょう。

「秋の開花」の定義についてよく議論されることがあります。人によっては1輪、2輪咲いた程度で、「秋も咲いた!」と喜んでいる人もいます。しかし我
我はそうはいかないのです。

バラの生長がそうであるように、この議論についても白黒はっきりつけることは到底できないことだと感じます。つぼみさえもつかないものから数輪しか咲かないもの、春の開花のように本格的に咲いてくれるものまで、幅広い品種が存在します。

毎年の気候と地理的な条件なども秋の開花を大きく左右する要因です。あなたのお住まいの地域で詳しいガーデナーさんに尋ねてみてください。
夏剪定のタイミングも花に影響を与えます。早すぎる剪定は、花数を減らし、葉や枝だけが生長しやすくなります。一方で、剪定が遅れてしまうとつぼみが少ししかつかず、しかもそのつぼみは寒さのせいで開かないで終わってしまうことがあります。

夏は、浅めの剪定かデッドヘディングだけで済ませる方がはるかに秋の開花が期待できるとわかりました。繰り返すようですが、これは品種によっても異なりますので経験と記録の積み重ねです。大阪では、例年9月の2週目ごろ
を目安に夏剪定を行います。その時期が一番、全体の仕上がりがきれいになるのです。しかしながら、剪定のタイミングは調整することもできますので、品種やそのときの気候によってベストなタイミングを見つけてください。
剪定する前に、鉢苗の重さや高さを測り、苗の健康状態や生長段階を記録して剪定に臨みましょう。

剪定前後の天気や気温の変化についても記録するようにしましょう。これを何年か続けてみれば、きっとおもしろいことが見えてくるはずです。たとえば、「ジ・アレンウィック・ローズを早い段階で剪定すれば、他の品種よりもたくさんの花がつく傾向にある」というようなことや、「オリビア・ローズ・オースチンは剪定時期にはほとんど左右されないが、気温が下がると開花し始
める」というような発見です。それぞれの品種がこういった様々な性
質を持っており、生長の過程で問題にぶつかっても、それはすべて我々の成長につながります。そしてさらにバラとの絆をより深くしてくれるのです。

肥料についても同じです。施肥の適切なタイミングは、使う肥料によって異なります。バラは冬に向けて休眠に入っていきますので、肥料のやりすぎや遅すぎる施肥には十分に気を付けてください。

最後は水やりについてです。剪定後のこの時期はあまり水を必要としないこともありますが、こまめなチェックは必須です。バラが水を必要としたときに水やりを忘れてしまった場合、秋の花は終わりを迎えてしまいます。同時に、水のやりすぎのせいで花数が減ったり、最悪の場合根腐れを引き起こしたりし
て枯死させることにもなりかねませんので注意してください。